群馬交響楽団第538回定期演奏会
軽井沢、とっても天気が良い週末です。
今週も、我が家は基本的に家で大人しくしている週末なのですが、
朝はウグイスの声で目覚め、日中本を読んでいて
ふと外を見ると、むせかえるような緑と紺碧の空。
金曜日の夜から土曜日の朝にかけての雨で空気が入れ替わり、
ちょっとひんやりした空気ですが、
カラッとした陽気で今日行われた軽井沢ハーフマラソンは皆さん走りやすかったでしょうね。

さて、昨日も天気が良かったのですが、
我が家は夕方から軽井沢から碓氷峠を下り、
こんな所に行っていました。

なんだかお寺の入り口みたいな雰囲気ですが、
今回は御朱印じゃないですよ。
高崎の、群馬音楽センターです。

この群馬音楽センターを本拠地とする、
群馬交響楽団の第538回定期演奏会があったので
行って来たのです。

いつもは大賀ホールの春の演奏会に行くのですが、
今年は高野山に行ってしまったのと、そもそもプログラムが最悪。
軽井沢に引っ越してきてから毎年欠かさず行っていたのですが、
今年はついに行きませんでした。
ホールの規模から、出来る曲には制約があるのですが、
以前より減ったオーケストラコンサートが
このところベートーヴェンとチャイコフスキーばかり。
さすがに聴き飽きました。
それに比べると、今回の群馬交響楽団の定期演奏会のプログラムは凄い。
ショスタコーヴィチの舞踊組曲「黄金時代」に交響曲第1番、
そして、バーンスタインの交響曲第2番「不安の時代」に
ウエストサイドストーリーの「シンフォニック・ダンス」と、
軽井沢ではもちろん、東京でもなかなか聴けない野心的なプログラム。
しかも、指揮者は井上道義さん。
数年前に体調を崩されましたが、流麗な指揮でオーケストラをドライブする
日本を代表する指揮者のお一人で、
ショスタコーヴィチの碩学のお一人でもあります。
これは聴かないわけには行かないと、スキーシーズンまっただ中に
チケットを予約しておきました。
今回の演奏会が楽しみだった理由がもう一つ。
アントニン・レーモンドが設計した代表的建築物の一つである
群馬音楽センターを是非見てみたかったのです。
上から三番目の写真の建物ですね。

旧高崎城の敷地に建つ群馬音楽センターが出来たのは昭和36年。
今から半世紀以上前で、東京上野の東京文化会館と
ほぼ同じような時期に建てられた音楽ホールです。
と、さらっと書きますが、まだ戦後20年も経たず、
東京でも大ホールと言えば日比谷公会堂などしかなかった時代に、
高崎という地方都市に、これだけの音楽ホールを作ったというのは
本当に凄いこと。
ちょっと調べたら、高崎市の年間予算が7億円の時代に、市民から1億円の募金を募り、
残り2億は市の予算で支出して建設したとのこと。
だんべえ大県の群馬県というと、
公営ギャンブル勢揃いで、ちょっとがさつなイメージですが、
一方でこういう文化的な蓄積も、ほかの県に比べるとかなり先進的。
だいたい政令指定都市以外の都市にプロオーケストラがあるのは
金沢、山形、そして高崎の群馬交響楽団ぐらい。
しかも、群馬交響楽団は昭和20年創立と、3つの中では最古参で、
地方都市の取り組みとしては、如何に先進的なことかが分かります。
さて前振りが長くなりましたが、音楽ホールがあるだけでも凄いのに、
その設計者が戦後日本を代表する建築家のアントニン・レーモンド。
軽井沢でも、旧軽の聖パウロ教会や、今はタリアセンに移築されている夏の家などは
レーモンドの設計によるものですが、
その代表作の一つが、群馬音楽センターだと言われています。
館内に展示室があって、そこに模型が展示されていたのですが、
正面も独創的ながら、上から見るとさらに独創的。

屋根の部分と壁面は紙を蛇腹状に、
三角に折ったような構造物が組み合わされています。
おそらくは内部にある大ホールを支えるためだと思うのですが、
横から見ても、建物が蛇腹状の壁で作られているのが分かります。

背後にある高層ビルは高崎市役所ですが、
ここの展望室から見ると、建物の形状がよくわかるそうですよ。
今度行ってみよう。
背後の楕円形の高崎市役所の建物とは対照的な形状ですが、
こうして並べてみてみると、全く古さを感じない形状ですね。

早速中に入ります。
大勢の方が居るので、なかなか写真を撮る雰囲気ではなく、
また、ホール内は撮影禁止なので、写真はないのですが、
外の形状同様、内部も非常に斬新。

階段の手すりの部分は、丸と三角で造形されています。
そして、この階段を2階に上ると、特徴的な屋根の内部がよくわかります。

ホール入り口には、斬新な建物に合う壁画。

いろいろなホールに入りましたが、ここ、文化財級だと思いますよ。
さて、ホールの中は緩やかな傾斜の客席の正面に、
音楽ホールとしてはかなり横長の舞台。
外部の直線的な構造とは異なり、緩やかなカーブを描く
反響板が備え付けられており、音楽ホールとして設計されているのが
よくわかります。
こんな施設が、高崎に半世紀以上前に出来ていたことは、本当に驚き。
ただ、今の音楽ホールでは一般的なホワイエの喫茶スペースなどはなく、
自動販売機が置かれているだけ。
また、舞台袖には巨大な空調のダクトが顔をのぞかせており、
今のホールに求められる設備としては、古さは否めない感じです。
そんなこともあってか、高崎駅東口に、現在もう一つの文化ホールを建設中とか。
すごいな、高崎市。
出来上がってからは、この群馬音楽センターとの
機能の棲み分けはどうなるのか分かりませんが、
建物の基本的な部分を代えずに、是非後世に残してほしいと思います。
さて、肝心の演奏会ですが、1,932人入ると言う巨大なホールが
何とほぼ満席!
こんなことを言っては何ですが、かなりマニアックなプログラムですよ。
私はどちらも好きな曲で、我が家にもそれぞれ数枚のCDがあったり、
シンフォニックダンスは、吹奏楽に編曲されたものをかつて演奏したこともあります。
でも、どちらも頻繁に演奏される、メジャーな曲ではありません。
バーンスタインの交響曲第2番は、
今年がバーンスタインの生誕100年だと言うこともあって、
今年は結構あちこちで演奏されているそうですが、
これまではあまり演奏会で取り上げられているのを
見たことがありません。
にもかかわらず、ほぼ満席というのに驚きました。
その大観客を、ノリノリに乗せたのが指揮者の井上さん。
数年前に大病し、しばらく休養されていたのでちょっと心配でしたが、
まるで踊るかのようなエレガントで、ダイナミックな指揮は健在でした。
いずれの曲も変拍子や、不協和音、さらにはちょっとジャズっぽい、
即興演奏的なところもあり、
さらには、普段クラッシックの演奏会にはあまり登場しない
珍しい楽器、具体的にはソプラノサックスやチェレスタ、ハーモニウム、
テナーチューバなども登場することから、
もたつくところや縦の線が合わないところ、音程が怪しいところなど
プロ演奏家でも手こずったところがありありでしたが、
あるときはまるで指揮台の上でワルツを踊るかのようにリズムを刻み、
あるときは曲に合わせておしりふりふり、という
指揮者の井上道義さんの魔術にかかったのか、
なかなかダイナミックな演奏で、とても良かったです。
ちなみに、井上道義さんの公式ホームページでは、
いろいろ大変だった様子が綴られていました・・・
ルームサービスがあるホテルが、高崎にはない!とか。
確かに、シティホテルはほとんどないですからね。
メトロポリタンもルームサービスはやっていないでしょうし。
どうせならホテルは、軽井沢にお泊まりいただければ良かったのに・・・
新幹線で、高崎から15分ですよ。
でも、シンフォニックダンスの際には衣装を着替え、
白のタキシードで登場する井上さんはさすが。
2,000人近いグンマーをノリノリに乗せて、大盛り上がりのうちに終演となりました。
本当に滅多に生演奏では聴けない曲を聴くことが出来て
本当によい一日でした。
群馬交響楽団、正直そんなに上手なオーケストラではないけれど、
いろいろチャレンジされている感じが素晴らしい。
今年も、9月の定期演奏会ではエルガーのオラトリオ「神の国」や、
11月の定期演奏会では千住明のオペラ「滝の白糸」など、
珍しいプログラムが目白押し。
最近大賀ホールは、本当につまらない演奏会が多いので、
群響の積極的なプログラムはそそられます。
定期公演の会員になっちゃおうかな?
しかし、いろいろ書いたら、長いな、今日・・・
最後までお読みいただいて、ありがとうございました。
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今週も、我が家は基本的に家で大人しくしている週末なのですが、
朝はウグイスの声で目覚め、日中本を読んでいて
ふと外を見ると、むせかえるような緑と紺碧の空。
金曜日の夜から土曜日の朝にかけての雨で空気が入れ替わり、
ちょっとひんやりした空気ですが、
カラッとした陽気で今日行われた軽井沢ハーフマラソンは皆さん走りやすかったでしょうね。

さて、昨日も天気が良かったのですが、
我が家は夕方から軽井沢から碓氷峠を下り、
こんな所に行っていました。

なんだかお寺の入り口みたいな雰囲気ですが、
今回は御朱印じゃないですよ。
高崎の、群馬音楽センターです。

この群馬音楽センターを本拠地とする、
群馬交響楽団の第538回定期演奏会があったので
行って来たのです。

いつもは大賀ホールの春の演奏会に行くのですが、
今年は高野山に行ってしまったのと、そもそもプログラムが最悪。
軽井沢に引っ越してきてから毎年欠かさず行っていたのですが、
今年はついに行きませんでした。
ホールの規模から、出来る曲には制約があるのですが、
以前より減ったオーケストラコンサートが
このところベートーヴェンとチャイコフスキーばかり。
さすがに聴き飽きました。
それに比べると、今回の群馬交響楽団の定期演奏会のプログラムは凄い。
ショスタコーヴィチの舞踊組曲「黄金時代」に交響曲第1番、
そして、バーンスタインの交響曲第2番「不安の時代」に
ウエストサイドストーリーの「シンフォニック・ダンス」と、
軽井沢ではもちろん、東京でもなかなか聴けない野心的なプログラム。
しかも、指揮者は井上道義さん。
数年前に体調を崩されましたが、流麗な指揮でオーケストラをドライブする
日本を代表する指揮者のお一人で、
ショスタコーヴィチの碩学のお一人でもあります。
これは聴かないわけには行かないと、スキーシーズンまっただ中に
チケットを予約しておきました。
今回の演奏会が楽しみだった理由がもう一つ。
アントニン・レーモンドが設計した代表的建築物の一つである
群馬音楽センターを是非見てみたかったのです。
上から三番目の写真の建物ですね。

旧高崎城の敷地に建つ群馬音楽センターが出来たのは昭和36年。
今から半世紀以上前で、東京上野の東京文化会館と
ほぼ同じような時期に建てられた音楽ホールです。
と、さらっと書きますが、まだ戦後20年も経たず、
東京でも大ホールと言えば日比谷公会堂などしかなかった時代に、
高崎という地方都市に、これだけの音楽ホールを作ったというのは
本当に凄いこと。
ちょっと調べたら、高崎市の年間予算が7億円の時代に、市民から1億円の募金を募り、
残り2億は市の予算で支出して建設したとのこと。
だんべえ大県の群馬県というと、
公営ギャンブル勢揃いで、ちょっとがさつなイメージですが、
一方でこういう文化的な蓄積も、ほかの県に比べるとかなり先進的。
だいたい政令指定都市以外の都市にプロオーケストラがあるのは
金沢、山形、そして高崎の群馬交響楽団ぐらい。
しかも、群馬交響楽団は昭和20年創立と、3つの中では最古参で、
地方都市の取り組みとしては、如何に先進的なことかが分かります。
さて前振りが長くなりましたが、音楽ホールがあるだけでも凄いのに、
その設計者が戦後日本を代表する建築家のアントニン・レーモンド。
軽井沢でも、旧軽の聖パウロ教会や、今はタリアセンに移築されている夏の家などは
レーモンドの設計によるものですが、
その代表作の一つが、群馬音楽センターだと言われています。
館内に展示室があって、そこに模型が展示されていたのですが、
正面も独創的ながら、上から見るとさらに独創的。

屋根の部分と壁面は紙を蛇腹状に、
三角に折ったような構造物が組み合わされています。
おそらくは内部にある大ホールを支えるためだと思うのですが、
横から見ても、建物が蛇腹状の壁で作られているのが分かります。

背後にある高層ビルは高崎市役所ですが、
ここの展望室から見ると、建物の形状がよくわかるそうですよ。
今度行ってみよう。
背後の楕円形の高崎市役所の建物とは対照的な形状ですが、
こうして並べてみてみると、全く古さを感じない形状ですね。

早速中に入ります。
大勢の方が居るので、なかなか写真を撮る雰囲気ではなく、
また、ホール内は撮影禁止なので、写真はないのですが、
外の形状同様、内部も非常に斬新。

階段の手すりの部分は、丸と三角で造形されています。
そして、この階段を2階に上ると、特徴的な屋根の内部がよくわかります。

ホール入り口には、斬新な建物に合う壁画。

いろいろなホールに入りましたが、ここ、文化財級だと思いますよ。
さて、ホールの中は緩やかな傾斜の客席の正面に、
音楽ホールとしてはかなり横長の舞台。
外部の直線的な構造とは異なり、緩やかなカーブを描く
反響板が備え付けられており、音楽ホールとして設計されているのが
よくわかります。
こんな施設が、高崎に半世紀以上前に出来ていたことは、本当に驚き。
ただ、今の音楽ホールでは一般的なホワイエの喫茶スペースなどはなく、
自動販売機が置かれているだけ。
また、舞台袖には巨大な空調のダクトが顔をのぞかせており、
今のホールに求められる設備としては、古さは否めない感じです。
そんなこともあってか、高崎駅東口に、現在もう一つの文化ホールを建設中とか。
すごいな、高崎市。
出来上がってからは、この群馬音楽センターとの
機能の棲み分けはどうなるのか分かりませんが、
建物の基本的な部分を代えずに、是非後世に残してほしいと思います。
さて、肝心の演奏会ですが、1,932人入ると言う巨大なホールが
何とほぼ満席!
こんなことを言っては何ですが、かなりマニアックなプログラムですよ。
私はどちらも好きな曲で、我が家にもそれぞれ数枚のCDがあったり、
シンフォニックダンスは、吹奏楽に編曲されたものをかつて演奏したこともあります。
でも、どちらも頻繁に演奏される、メジャーな曲ではありません。
バーンスタインの交響曲第2番は、
今年がバーンスタインの生誕100年だと言うこともあって、
今年は結構あちこちで演奏されているそうですが、
これまではあまり演奏会で取り上げられているのを
見たことがありません。
にもかかわらず、ほぼ満席というのに驚きました。
その大観客を、ノリノリに乗せたのが指揮者の井上さん。
数年前に大病し、しばらく休養されていたのでちょっと心配でしたが、
まるで踊るかのようなエレガントで、ダイナミックな指揮は健在でした。
いずれの曲も変拍子や、不協和音、さらにはちょっとジャズっぽい、
即興演奏的なところもあり、
さらには、普段クラッシックの演奏会にはあまり登場しない
珍しい楽器、具体的にはソプラノサックスやチェレスタ、ハーモニウム、
テナーチューバなども登場することから、
もたつくところや縦の線が合わないところ、音程が怪しいところなど
プロ演奏家でも手こずったところがありありでしたが、
あるときはまるで指揮台の上でワルツを踊るかのようにリズムを刻み、
あるときは曲に合わせておしりふりふり、という
指揮者の井上道義さんの魔術にかかったのか、
なかなかダイナミックな演奏で、とても良かったです。
ちなみに、井上道義さんの公式ホームページでは、
いろいろ大変だった様子が綴られていました・・・
ルームサービスがあるホテルが、高崎にはない!とか。
確かに、シティホテルはほとんどないですからね。
メトロポリタンもルームサービスはやっていないでしょうし。
どうせならホテルは、軽井沢にお泊まりいただければ良かったのに・・・
新幹線で、高崎から15分ですよ。
でも、シンフォニックダンスの際には衣装を着替え、
白のタキシードで登場する井上さんはさすが。
2,000人近いグンマーをノリノリに乗せて、大盛り上がりのうちに終演となりました。
本当に滅多に生演奏では聴けない曲を聴くことが出来て
本当によい一日でした。
群馬交響楽団、正直そんなに上手なオーケストラではないけれど、
いろいろチャレンジされている感じが素晴らしい。
今年も、9月の定期演奏会ではエルガーのオラトリオ「神の国」や、
11月の定期演奏会では千住明のオペラ「滝の白糸」など、
珍しいプログラムが目白押し。
最近大賀ホールは、本当につまらない演奏会が多いので、
群響の積極的なプログラムはそそられます。
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